実績について
近年、小さな皮切(傷口)で人工関節を置換する手術方法が一部の施設で行われてきています。
これは、最小侵襲手術(MIS:minimally invasive surgery)とか小皮切と言われており、以前は15cmくらいで行っていた傷の長さが,現在私は5〜9cmで行っております。術後の回復も早くなり,整容面でも優れております。
当院では2004年より全国で最も早い時期から,この方法を取り入れてきました。一部の患者様を除く95%以上の方に,この方法で手術を行っております。
- 2004年度 26例(下半期)
- 2005年度 58例
- 2006年度 68例
- 2007年度 60例
- 2008年度 97例
- 2009年度 120例
- 2010年度 154例
- 2011年度 181例
- 2012年度 191例
- 2013年度 207例
- 2014年度 205例
- 2015年度 219例
- 2016年度 216例
- 2017年度 220例
- 2018年度 232例
- 2019年度 226例
- 2020年度 206例
- 2021年度 190例
- 2022年度 174例
- 2023年度 175例
以上の方がこの方法で手術を受けられております。
その他の下肢手術(靭帯再建術,アキレス腱断裂,骨折など)も可能な限り小皮切で行うよう心がけております。
得意としている他の疾患
- (1)変形性膝関節症
- 日本でも海外でも非常に多くの方々が苦しんでいる疾患です。
人類が長生きできるようになって患者数は増加の一途をたどっております。
手術を受けるということは患者さんにとって一大事ですので、どうせ手術を受けるのであれば、可能な限り早く回復でき、外観も目立たない手術法を日々考えつづけております。
私が目指す小皮切は、その様な考えから発展してきた方法です。
人工膝関節置換術という膝にとっては大きな侵襲をかけてしまう手術を少しでも肉体的にも精神的にも負担を減らすことができればと考えております。
小皮切による人工膝関節置換術では屈指の経験数がございます。
写真:皮切長5cm- 変形性膝関節症について
- (2)十字靭帯損傷
- 膝には大く分けて4つの靭帯があります。
内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯です。
受傷頻度の最も高い内側側副靭帯は保存治療(手術をしない治療)でほとんど治りますが、前十字靭帯と後十字靭帯は保存的にはほとんど治癒しない靭帯です。
このうち前十字靭帯は日常生活で困ったり(膝くずれや疼痛)、スポーツをする時に不自由さが残る場合、手術をすることが多くなります。
当院では、スポーツ医学にも力を入れており、内視鏡下で靭帯再建術を行っております。 - 前十字靭帯損傷について
- (3)外反母趾
- 外反母趾の特徴は、女性に圧倒的に多く、原因として靴(ハイヒールや先の細い靴)や遺伝が考えられております。
この疾患も変形が軽度の症例に対しては保存的に治療を試みますが、変形が高度で疼痛も激しい場合、手術を行います。
手術は、腱のみの処置で済む場合もありますが、高度変形を伴う症例には骨きり術が行われます。 - 外反母趾について
学会発表および講演
- 『人工膝関節置換術(TKA)後における凝固線溶系の経時的推移』 平成16年1月19日市立札幌病院大講堂
- 第35回北海道膝関節研究会 『人工膝関節置換術(TKA)後に生じた深部静脈血栓症(DVT)の診断にMRVは有用か?― D-dimer値との比較から ―』 平成16年2月28日札幌市教育文化会館
- 第1回高齢者向け運動指導者養成講座 『整形外科的見地から』 平成16年3月27日NTT北海道セミナセンタ
- 第2回高齢者向け運動指導者養成講座 『整形外科的見地から』 平成16年8月21日
- 第36回北海道膝関節研究会 『サルモネラによる脛骨骨髄炎の治療中に化膿性膝関節炎および蜂窩織炎を惹起し治療に難渋した1例』 平成16年9月11日 札幌市教育文化会館
- 第107回北海道整形災害外科学会 『駆血帯または骨セメントの非使用は人工膝関節置換術(TKA)後上昇するD-dimer値を抑制するか?』平成16年8月7日札幌市
- 第107回北海道整形災害外科学会 『人工膝関節置換術(TKA)後に生じる深部静脈血栓症(DVT)の早期予測は可能か?』平成16年8月7日札幌市
- 第862回院内研修会『下肢の疾患』 外反母趾―人類学的見地からー 平成16年12月9日 市立札幌病院大講堂
- 第863回院内研修会『救急医療における整形外科の役割』 ―下肢外傷手術のup to dateー 平成17年2月10日 市立札幌病院大講堂
- 第37回北海道膝関節研究会 『骨軟骨欠損を併発した膝関節内骨折に対し骨膜付き腸骨移植を施行した一例』 平成17年3月18日 札幌市教育文化会館
- 第108回北海道整形災害外科学会 ligament balancer併用navigation systemにおけるTKA術後下肢アライメントの検討 平成17年1月30日 旭川市
- 第109回北海道整形災害外科学会小皮切による人工膝関節置換術(TKA)の短期成績と問題点 平成17年6月26日 札幌市
- 第110回北海道整形災害外科学会人工膝関節置換術(TKA)を小皮切で行うための工夫 平成18年1月29日 札幌市
- 第110回北海道整形災害外科学会大腿四頭筋温存最小侵襲人工膝関節置換術の臨床成績 平成18年1月29日 札幌市
- 第31回日本膝関節学会大腿四頭筋温存最小侵襲人工膝関節置換術の臨床成績 平成18年6月9日沖縄県
- 第31回日本膝関節学会高エネルギー外傷によるACL,LCL,ITT付着部剥離骨折の1例 平成18年6月9日沖縄県
- 「人工膝関節置換術(TKA)の低侵襲化を目指して」平成21年8月25日 札幌市
- 「人工膝関節置換術(TKA)後に生じる深部静脈血栓症(DVT)の予防に関する研究」平成22年8月24日 札幌市
- 第14回博多リウマチセミナー「RA前足部変形に対する手術療法の進歩」
平成25年1月27日 アクロス福岡4F国際会議場 - 第5回札幌リウマチ市民公開講座「リウマチの足病変」
平成28年9月24日 札幌市医師会館
業績
- 脊椎に発生した類骨骨腫の治療経験 東 裕隆 浅野 聡 佐藤栄修 32 9:1053-1058,1997.
- スノーボードによる脊椎・脊髄損傷 日本臨床スポーツ医学会誌 東 裕隆ほか8:185−193,2000.
- スノーボード外傷の現状と予防 臨床スポーツ医学 東 裕隆17:1140−1142,2000.
- 『スポーツ医学におけるMR画像の応用』文光堂出版 臨床スポーツ医学編集委員編 第3章臨床への応用 東 裕隆 215-224,2000.
- ニセコスキー場におけるスノーボード外傷−9年間の調査によるスキー外傷との比較 東 裕隆 ほか 北整会誌 43;20−23,2001.
- TGF-βおよびEGFの混合投与が凍結処理家兎膝前十字靭帯(再建モデル)の力学的特性に与える効果 東 裕隆 安田和則 酒井俊彦 43 2:1-4,2001.
- スノーボードによる足関節果部骨折−スキー外傷との比較− 東 裕隆 ほか 臨床整形外科37巻123−127,2002.
- 後十字靭帯温存型セラミック製LFA人工膝関節の開発コンセプトとその2〜8年成績 安田和則 井上雅之 東 裕隆 臨床整形外科 37巻 第8号 961−969、2002.
- スノーボードおよびスキーによる足関節靭帯損傷 東 裕隆 安田和則 眞島任史 日本臨床スポーツ医学会誌 10巻3号 437−444、2002.
- スノーボードによる第5中足骨骨折 東 裕隆 安田和則 眞島任史 臨床整形外科 37巻9号 1067−1073、2002.
- スキーとスノーボードによる下肢外傷とその治療 東 裕隆 安田和則 整形・災害外科 45巻12号 1263−1272、2002.
- Timing of administration of transforming growth factor-beta and epidermal growth factor influences the effect on material properties of the in situ frozen-thawed anterior cruciate ligament Hirotaka Azuma, Kazunori Yasuda, Akio Minami Journal of Biomechanics 36 373-381, 2003.
- Effects of separate application of three growth factors (TGF-beta1, EGF, PDGF-BB) on mechanical properties of the in situ frozen-thawed anterior cruciate ligament. Akira Nagumo, Kazunori Yasuda, Hirotaka Azuma Clinical Biomechanics 20 283-290, 2005.
- Ligament balancer併用navigation systemにおけるTKA術後下肢アライメントの検討、滝 健児、東 裕隆ほか 北海道整形災害外科学会誌48巻2号41-44、2007.
- 高エネルギー外傷による膝前十字靭帯・外側側副靭帯・腸脛靭帯付着部剥離骨折の1例 眞島 任史 東 裕隆 ほか 日本膝関節学会 31巻2号340−342、2007.
- Prospective clinical comparisons of anatomic double-bundle versus single-bundle anterior cruciate ligament reconstruction procedures in 328 consecutive patients. Eiji Kondo, Kazunori Yasuda, Hirotaka Azuma et al.AJSM.36, 1675-1687,2008
- RA前足部変形に対する手術療法の進歩 東 裕隆 博多リウマチセミナー論文集 1−11、2013